Off Course Concert 1988~1989 STILL a long way to go (1989.2.3日本武道館)

My Life

前年1987年のas close as possibleツアーから1年も経たず、1988年から1989年にかけてSTILL a long way to goツアーが行われた。

“a long way to go”で「長い道のりが残っている=やるべきことがたくさんある」という意味があるようですが、そこにSTILLがついて、まだやるべきことがあったはずなのに、このツアーが最後となってしまった。

私はこのツアーで地方公演2か所、東京厚生年金会館公演を3回、日本武道館公演を3回観ることができた。少し話がそれますが、東京厚生年金会館最終日の1989年1月25日には、入場前にこんなものが配られた。

1989年2月3日、長かったSTILL a long way to goの千秋楽。会場では入場時に風船が配られた。コンサートの開幕前にスタッフから、アンコールのとき合図をするから、風船を膨らませてメンバーを迎えてほしいと説明があった。メンバーには極秘の演出だった。

オープニングテーマは、アメリカ映画マイフェアレディから「君住む街角」。今回のツアーで歌われる「君住む街へ」に引っ掛けたものであることは容易に想像がつくが、この映画は1964年に制作されたそうだ。1964年は小田和正が高校2年生のときに、聖光学院クリスマス・パーティーで初めてバンド演奏をした年だ。図らずもそうなったのか、それとも・・・。

君住む街角に続き、君住む街のインストゥルメンタルが流される。「緑の日々」のオープニングのようなリズムが流れ、それに合わせて観客が手拍子を送る。

アルバム「STILL a long way to go」の1曲目が「君住む街へ」なので、それを演奏するのか、いやこれはエンディングにふさわしい曲だし、では1曲目は何?と思っていたら、始まった曲は1982年発表の「NEXTのテーマ~僕等がいた~」

”誰れのためにでもなくー”と小田和正が歌いだしても黒い幕は閉まったまま。ステージ後方から黒い幕、つまり会場のほうに向けて白いライトが多数あたっている。

”その時そこにはー”のところで黒い幕がバサッとステージに落ち、メンバーが現れる。ステージは白いライトに包まれてメンバーを浮かびだす。キャーという歓声があがる。

この曲は、オフコースの始まりから終わりまでを歌った曲なんだろうと思う。この曲が発表された1982年は、4人のオフコースがこれから始まる時だった。しかし今回のツアーではもう解散することが決まっていて、メンバーはどんな気持ちで歌ったのだろう。

あの頃確かに 僕等がいたね 誰れも知らない 僕等がいたね

何も見えない明日に向かって 走る僕等がいたね

NEXTのテーマ~僕等がいた~ 作詞/作曲 小田和正

小田和正と鈴木康博のふたりで始めた頃、北海道でのコンサートの観客が13人ということもあったという。まさに誰も知らない僕等、見えない明日に向かう僕等だったのだろう。よくぞここまで来たという感慨深い思いを込めたものであったに違いない。

新しい時の流れの中で いつかまた会える時がくるね

その時またここから 歩き出せばいいから

NEXTのテーマ~僕等がいた~ 作詞/作曲 小田和正

ファンに向けたメッセージだと受け止めたほうが自然な感じもするが、鈴木康博に向けたメッセージと受け止めることもできる。5人のオフコースとして最後に発表した楽曲で、別れゆく鈴木康博に、もう一度できるならまたやろうという気持ちを込めたのかも知れない。

いずれにしてもオフコースの楽曲のなかで、歌詞の意味の深さ、そしてコンテンポラリーながらちょっと寂しさを感じる曲調、特にサビ部分のE♭/G~B♭/Aのメロディーは、オフコースサウンド最高傑作のひとつと言っても異論はないだろう。

大間ジローのドラムでこの曲を締めくくると、場内はミラーボールが回り歓声があがる。天の川の星屑を連想させるようなシンセサイザーの打ち込み音が流れる。

大間ジローのカウントスティックで始まる2曲目は「昨日 見た夢」

アルバムの最後に収録されていて、正真正銘オフコースとして最後の曲だ。

通り過ぎたどの時代にも悔いはないけど

君のいない世界へ戻りたくない

昨日見た夢 作詞/作曲 小田和正

う~ん、自分の人生を振り返って、どの時代にも悔いはないなんて言えるかな(汗) こんなかっこいいこと言ってみたいものです。

この1曲目と2曲目は、1985年から今日まで、全てのコンサートツアーを観たなかでの最高の組み合わせと思っている。

3曲目はおなじみ「愛を止めないで」。イントロなしで歌い始める。ちなみに小田和正のキーボードはKX-88。前回as close as possibleツアーのときはKX-88とDX-7の2台を使用していたが、今回はKX-88の1台のみ。キーボードパートの多くを前回同様神本宗幸に託している。

4曲目は前回ツアーでも演奏された、松尾一彦の歌う「I’m a man」。前回ツアーのときはコンサート後半部分で演奏され、キーボードソロがあって派手な曲であったが、今回はレコード(CDではありません。LPレコードです。)同様のアレンジであった。

【2月3日のMC】
「どうもありがとう、こんばんは、オフコースです。」
「朝までやるぞーー!」
「といっても時間には限りがあります。最後まで楽しんでいってください。」

5曲目はMCでも紹介があった通り、清水仁の歌う「逢いたい」。作詞は吉田拓郎に依頼し、清水仁自身が作曲した曲で、清水仁がソロで歌う曲は前回ツアーから披露されている。最後のサビの部分、”俺の身体付きぬけて”と歌ったあとマイクから離れ気味になり、少しうつむいている。察した小田和正があとを引継ぎ、そのまま清水仁のパートを最後まで歌い切った。

6曲目は松尾一彦の歌う「君の倖せを祈れない」。作詞は小田和正、作曲は松尾一彦の、別れのバラードといった感じの切ない曲である。最後のサビの部分”君の倖せを”のところは、レコード(くどいですがCDではありません)とはアレンジを変えて、少し低めの旋律で歌っている。

7曲目は前回ツアーでも演奏された「たそがれ」。そしてステージが暗転し、KX-88と小田和正をスポットライトが照らす8曲目は「さよなら」。オリジナルより1音下げて、噛みしめるように歌う弾き語りである。サビの”さよなら さよなら さよなら”は、2回目の”さよなら”を歌わないツアーバージョンであった。なお、「さよなら」に代えて、会場によっては「秋の気配」が演奏されるときもあり、日本武道館公演も、2日目2/2がそうであった。

9曲目は、5人のオフコース時代に発表された「哀しいくらい」。1985年のツアーでも演奏され、小田和正がソロになってからも何度か演奏されている曲だ。

「それでは、新しいアルバムの曲の中から聞いてください。<夏の別れ>」

10曲目は、シングルとしては最後に発表された曲「夏の別れ」。曲調としては明るくもあり、またもの悲しくもある。ドラマでいえば、笑って別れようと、無理に作った笑顔に涙がこぼれているような、そんなイメージである。

言葉もやさしさも 足りないまま背を向ける

傷あと残さずに 別れられるわけもない

ふたつの人生が重なり合って

でもここからは別々の夏 思い出は思い出として

夏の別れ  作詞/作曲 小田和正

鈴木康博と別れ、オフコースともこれで訣別する。その思いをこの歌詞に込めて、小田和正はステージでどんな思いで歌ったのだろう。

再びステージは暗転し、スポットライトが小田和正を照らす。神本宗幸がCの単音を鳴らし、小田和正はKX-88の前に立ち、後ろ手を組んでマイクに向かう。11曲目は、ツアータイトルにもなった「STILL a long way to go ~また会う日まで~」

自分の半生を振り返りつつ、ファンへの別れを歌ったこの曲は、タイトルのあとに”また会う日まで”とついている。コンサートの1曲目がNEXTのテーマだったり、”また会う日まで”がついていたり、何かあるのかなとおぼろげに思っていたが、解散するとは夢にも思わなかったことを覚えている。

海原はるかに 胸躍らせて

旅立ったあの頃が まるで昨日みたい

思えば何度か 躓きかけて

そのたびに あの心を遠く思いだしてた

いつかまた君とも 何処かで会えるね

流されていても いつでも忘れていないから

終わることなく繰り返す 出会いと別れと

一度だけのこの人生 こころに残るひとたち

いつかまた君とも 何処かで会えるね

流されていても いつでも忘れていないから

思いはただひとつ 追いかけてゆく

そのために きっと僕は 生まれてきたのだから

STILL a long way to go ~また会う日まで~  作詞/作曲 小田和正

オフコースの小田和正として一旦ファンには別れを告げるが、いつかソロとして再びファンの前に現れることも想定していたのだろう。そんな思いが歌詞の合い間から読み取れるような気がする。この曲は歌詞はそれほど長いものではないが、オフコースの小田和正としての総決算をしたような内容になっている。そんな思いもあったのかも知れないが、2月1日の演奏時は感極まったのか最後の1フレーズだけ歌えなくなり、会場がにわかに沸くシーンが見られた。

しんみりしたあとの12曲目は、同じく新しいアルバムのなかから「She’s so wonderful」。後に一部歌詞を変えて、LookingBackして歌われている。シンセドラムの打ち込みと、大間ジローのシンセドラム、神本宗幸のオフコースにはなかった音色が相まって、テクノポップ調の曲に仕上がっている。

続いて13曲目は4人のオフコースの代表曲のひとつ、「君が、嘘を、ついた」。4人のオフコース初期の曲で、この曲のストーリーは、鈴木康博からオフコースを脱退したいという話を聞いたときの衝撃を表したものだろう。

いま君らしくない言葉を聞いた 心が騒いでいる ・・・

思わず僕の息が止まる ・・・

君のことが信じられない時が来るなんて ・・・

君の言葉も心も いま僕の中で 音を立てて崩れはじめてる ・・・

君が、嘘を、ついた  作詞/作曲 小田和正

ここでの嘘は嘘つきの嘘ではなく、作り話だよね?本心じゃないよね?という気持ちを嘘という言葉に置き換えている。嘘だ!信じない!という心の叫びをドラマチックにこの曲で表現したのだろう。

そして1985年のツアーでも歌われた14曲目は松尾一彦の歌う「ぜんまいじかけの嘘」。嘘が2曲続いて、オフコースを本当に解散させてよいものか、小田和正にとっての迷いの表れなのか。

15曲目は一転してポップな曲調の「Tiny Pretty Girl」。前回ツアーでも演奏され、間奏のとき小田和正はショルダーキーボードKX-5を弾きながらステージ中央で演奏したが、今回はそのようなことはなく、普通にKX-88を演奏していた。

ギターのように持って弾ける YAMAHA KX-5(YAMAHA HPより)

話が脱線しますが、小田和正と同じ楽器を買って真似をしたいのであれば、KX-5ならば金額的にいちばん現実的だろう。当時の販売価格は65,000円であった。DX-1が1,950,000円、DX-7やKX-88はいずれも200,000円台である(いずれも販売終了しています)。

終盤戦の16曲目は「YES-NO」。この曲については説明不要であろう。曲の後奏のなかで、サックスの園山光博をはじめとしてメンバー紹介があった。

「どうもありがとう」
「それでは最後の曲を聞いてください」

最後の曲となる17曲目は「君住む街へ」。小田和正の弾くKX-88が、エレピ調の音を奏で、イントロはツアー用に少し合い間のあるアレンジであった。

(小田)そんなに自分を責めないで 過去はいつでも鮮やかなもの

(清水)死にたいくらい辛くても 都会の闇へ消えそうな時でも

(松尾)激しくうねる海のように やがて君は乗り越えてゆけるはず

(全員)その手で望みを捨てないで すべてのことが終わるまで

    君住む街まで飛んでゆくよ 一人と思わないで いつでも

君住む街へ  作詞/作曲 小田和正

ひとつの曲を3人でボーカルをとる、最初で最後の曲であった。今回のツアーは全国津々浦々83カ所で102回公演し、オフコース最後のメッセージを届けに歌った。 優しく心に沁みるメロディー、”ひとりと思わないでいつでも”というそのメッセージを、多くのファンが受け取ったことだろう。私にとっても、いつまでも心に残るコンサートであり、一生忘れないことだろう。

こうしてオフコース最後の日本武道館公演は終了した。


いかがだったでしょうか?

いま思えば、オフコース最後の日本武道館公演3日間全てを観ることができたなんて、すごく贅沢でしあわせなことでした。都内に通っていなければ不可能なことだったかも知れません。

日本武道館公演 3日分のチケット(筆者撮影)

最終日は2階席のわりと上のほうの席でしたが、観られただけでも本当に幸運でした。終演後は終わってしまったことへの虚脱感を感じたことを覚えています。

このツアーのことも、30年経ったいまでも鮮明に覚えているところがいくつもあって、開演時の黒幕が落ちてくるところや、小田和正が後ろ手を組んで歌っているところ、このあたりは正確に描写したつもりです。それ以外のところは多少脚色した部分もありますが、大筋では合っていると思います。少しでも雰囲気を味わっていただければ嬉しく思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

【追記】

■歌詞の引用については著作権法32条に基づき、法律で定められた利用方法を遵守して掲載しております。

■画像については、キャプションのあるものについてはその説明が出どころとなり、無表示のものについては、「PhotoAC」の無料画像から引用いたしましたまた、画像は全てイメージです。

■敬称略

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おさむらい
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JALときどきANA、時によりUAのマイルを貯めている陸マイラーです。目線を低くして、初心者の方や主婦の方など、誰れにでも優しく簡単にマイルを貯められるような情報提供を目指しています。旅行会社勤務ですが、添乗ではマイル加算運賃で乗れる筈もなく、もっぱらクレジットカードやポイントサイトでマイルを稼いでいます。旅行業界の裏話や、My Lifeのカテゴリーでは自分の好きなものを記事にしています。よかったなと思っていただける記事がありましたら、ぜひお友達にもご紹介ください。

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